夕方になり、雨がだんだんひどくなってきていた。
 

部屋の窓ガラスに雨粒が激しく当たる音が聞こえる。
 

まだ外は明るいけど……あと数時間で夕食が始まる。


それまでに大浴場に入り、部屋に戻ってきたところでこのみちゃんの具合が悪くなった。


千咲ちゃんは先に夕食会場へと向かい、しばらく私が部屋で様子をみることにした。


何度か声を掛けたけど、よほど気分が悪いのか布団をかぶってしまった。


 その時このみちゃんのスマホが鳴り始めた。


 ベッドの中で誰かと話している。


「分かってる……頭が痛くて……ちょっと無理そうなの……ええっ? そんなこと言われても!」


 少し口調が強くなり、側にいる私にも会話が所々聞こえる。


 彼氏がいるみたいなことをカフェで言っていたし、その人と話してるのかな?


 聞いちゃいけないと思い部屋を出てしばらくすると、意外な人が駆け寄ってきた。