朝は目覚ましの音より5分くらい早く起きる。
お嬢様を起こす1時間前。
眠い目をこすってカーテンを開ける。
「今日もしっかり仕えましょうか」

使用人たちは、相部屋で生活する。
最初はお祖父様と一緒だったが今は1人。
今は奇数人。新しい執事が増えたら絶対一緒になる。
(どんな人が来るんだろうな)

燕尾服に着替えて目覚ましが鳴った瞬間に止める。
ベットを綺麗にして厨房へ。
「おはよう」
「おはようございます、司さん」

司さんが作ってくれた軽食をいただく。
「ごちこうさま、美味しかったです」
食器を司さんに渡して身だしなみを整えて
洗濯係のメイドからお嬢様の
ブラウスを受け取り、お嬢様の部屋へ。

お嬢様が食事中は廊下で待機。
授業の時間割を確認して準備。
司さんの作ってくれたお弁当を鞄に
入れて登校。

ー学校ー
「おはよう、陽」
「おはよう、伊吹」
友達の伊吹 瞬。(いぶき しゅん)
クラスのムードメーカー的な存在。
執事の事はこの学校で誰も知らない。

(昔はじいちゃんに言うなって言われてたからな。
ありがとう。
これからも俺はバレないように気をつけます。
小学生ならすげーってなるけど今は揶揄われるに
決まってる。)

勉強も気を抜かない。
学校は共学で1クラス24人で3クラス。
自分の順位は学年で5位前後をキープしている。
「おはよう、暁くん」
「はよー、陽」
教室に入って挨拶を交わして自分の席に座る。

「今日、昼休みいい?」
「あ、私も」
「俺も行きたい!」
「大丈夫だよ。図書室でやろうか」

月一のペースで行われる勉強会。
最初は伊吹だけだったか話が広まって、
今は10人くらいいる。

お弁当を食べて図書室へ。
「でもなんで俺なの?
俺より上の三上さんとかに教わらないの?」
三上 詩織(みかみ しおり)さんは今年初めて
同じクラスになった女子生徒。
今までの定期テストで1位から外れた事はない。
でも誰かと一緒にいるのは見た事ない。

「三上さん、怖いんだもん」
「怖い?」
途中参加した西野さんが答えた。
「なんか冷たいよな」
「そうそう、なんか勉強できない人とは付き合い
ませんオーラがある!」
「そんなことないと思うけど」
(たしかに三上さんは言葉きついけど冷たい感じは
しないけど)

昼休み終了、
午後の授業を受けて放課後。
「あれ、三上さん」
「なに、」
(元々つり目だからってことも
あって怖いって思われるんだろうな)

「袖、どこかに引っ掛けたの?」
「え、ほんとだ気づかなかった」
「よかったら直そうか?」
「え、」
(あ、しまった。普通に言っちゃった。
まともに話してこれって引かれるな決まってる!)

「いや、なんでもない、」
「いいのか?」
「え、うん」
三上さんはブレザーを脱いで渡す。

「やってくれるんだろ?」
「そ、そうだけど」
(三上さんの気が変わらないうちにやろう)


裁縫セットから針と糸。
5分もしないうちに糸切りばさみの音がなる。
「はい」
「あ、ありがとう」
袖を通すけどほつれた場所なんてわからない。
「どういたしまして」