俺らは血に飢えている。

ー大体はそうだ。

栗栖も湊も…、幼馴染の星夜もそうだ。


…だが、俺は違う。


血に美味しさを感じない俺はもちろん血を欲しない。


でも、あの女と関わったときは違った。

初めて女と会った日、入学式の日だ。


迷ったとか言って結界のある中庭にずんずん入ってきたときは流石に驚いた。


…まじかよ。この女。


普通は視界にすら入らないこの空間にためらいなく入ってきた。


「おい」

俺のそんな声にびくっと驚く女。


…新入生か?