無自覚な彼女はヴァンパイア様の溺愛に気づかない

「…新堂様?」


「やり直し」


…やり直し。ですか?


「新堂麗央様?」


「麗央って呼んで」


「そんなの恐れ多いいすぎますっ」


そんなの私みたいな人間が…、よ、呼べるわけないですよ‼

無理無理と首を横に振る私の後ろの壁に手を置くといわゆる〝壁ドン〟の体勢になる。


こんなの異性耐性ゼロの私には無理っ。無理無理無理。


「ほら呼ばないと、ね?」


「れ、麗央様」


じりじりと迫ってくる麗央様に私の焦りはどんどんたまる。