無自覚な彼女はヴァンパイア様の溺愛に気づかない

袖がぐいっと引っ張られる。

「お前?…俺に媚びたりしないのか?」


「え、媚びる?」


そういえば栗栖さまも言っていたなぁっと思い出す。

媚びるってそんなにいいものだろうか?


「何故ですか?」


率直な思いをぶつけてみる


「人間は金や権力に媚びるものだろ。…特に女は」


なんだそれ。ひどい偏見だな。

むっとしてついつい新堂様に言い返す。


「じゃあ金輪際あなたには関わりません。」