無自覚な彼女はヴァンパイア様の溺愛に気づかない

私は今度こそ喉を詰まらせないように慎重に…、

だけど早めに米を口に運ぶ。

そんな様子をしり目に見ていた
お兄ちゃんは自分の手に乗せていた米粒をぱくっと食べた。

確かそれ私の唇についていた米粒…。

「ん?」

「おいしい」

「あ、うん」

あまりに自然の行動過ぎてこれが彼にとって普通なのかもしれない。


ーというか付き合わされているこちらが恥ずかしくなってくる。


「美鈴、可愛いね。耳真っ赤だよ?」


今度こそお兄ちゃんを無視すると黙々と米を口に詰め込んでいく。


さっきもずっと食べている私を見ていたし、英語のテストあるなら
集中すればいいのに…。


こっちを見ている…?


ーーいや、待てよ。


はっと箸を止めるとお兄ちゃんに向き直る。


「?、どした。」

さっきまで謎ににやにやしていた兄。
今はきょとんとした顔をしている。

もしかして…

なるほど、そういうことか

残りのお茶碗を片手に取ると兄に差し出す。


「お兄ちゃん残りの米も食べる?」

「え、なんで?」

「だって米食べたかったんでしょ?」