無自覚な彼女はヴァンパイア様の溺愛に気づかない

お兄ちゃんは呆れたように水を持ってくると私に飲ませる。

「ありがとう…」

「気をつけなよ?」

「…はぃ」

うわ、入学式に間にあうように意識しすぎて
喉詰まらせるとか子供みたいで恥ずかしいぃ。


「美鈴は成長しているように見えて中身は変わってないね。」

「つまり…?」

「簡単に言うと…、ポンコツかな。」


今回ばかりは喉を詰まらせた私が悪いし
何も言えない。


ぶすっとしながら水を飲んでいるとお兄ちゃんは突然顔を近づけてきた。
急にイケメンが私の目にドアップで映りこむ。


前触れのない突如の謎の行動に次は水をのどに詰まらせそうになる。


「な、な、な、なにっ」


ー唇に何か触れている…。


「米粒ついてたよ」

平然とした彼の態度…、と見せかけて目はにやにやしている。
お兄ちゃん狙ってたでしょ。


イケメン恐るべし…。


私のお兄ちゃんは私に対してはちょっと意地悪だけど、優しい。

「あ、ありがとう…ね。」