無自覚な彼女はヴァンパイア様の溺愛に気づかない

冷たい

生きてる人の温度じゃないのではないか。

「こんなあっさり見つかるなんてね」

その言葉に、更に疑問が深まる。
白百合の生徒が私を探していた、?

「ずっと探してたんだよ、美鈴ちゃん」

それに、どうして名前を知ってるの。

「お兄ちゃん……どこにいるの……?」

震える声で絞り出すと、彼は一瞬だけきょとんとして…次の瞬間、楽しそうに笑った。

「あぁ、あの人?」

わざとらしく首を傾げる。

「大丈夫。ちゃんと生きてるよ。今はちょっと、眠ってもらってるだけ」

頭が真っ白になる。

「……え?」
「だって邪魔だったんだもん。君に会うのに」

お兄ちゃんが白百合の生徒と知り合い…?それに邪魔ってどういうこと。
必死に頭を働かせようとしても、呼吸は全部浅くて頭は真っ白いキャンパスのように何も考えれない。

首筋にひやりとした指先が触れた。
「っ!」
「ねぇ」
吐息が落ちる。
彼の唇が、首元すれすれで止まる。

「君って、やっぱりすごく甘い匂いがする」

意味がわからない。
わからないのに、本能だけが警鐘を鳴らしていた。

「少しだけ──味見させて?」
ぞくり、と全身が凍る。
視界の端で、彼の口元からのぞいたそれが一瞬だけ街灯に反射した。
……牙?

もう逃げ場なんてどこにもなかった。

「っ……!」

悲鳴すらうまく出ない。腰が抜けそうになる私を、彼の腕が支えた。
まるで恋人みたいな距離なのに、そんなロマンティックではない。怖くて吐きそうだった。

「大丈夫。ちゃんと優しくするから」

本能が、全力で叫ぶ。
逃げなくちゃ。
でも、足の速さではこの人には勝てない、手も振り払えない…、

「いや……っ!」
それでも必死に押し返した、その瞬間。