無自覚な彼女はヴァンパイア様の溺愛に気づかない

ぶるるるるるるるるるるるるるる

ぶるるるる…バンっ

突然の2台のスマホの音が生徒会の部屋に響き渡ったかと思うと麗央さんの声を遮った。
目をやると1台はまさかの私のスマホからだった。

「こんな時間に…?」

はて、誰からだろう?
って、そんなことより麗央さんは何か言いかけてたはずっ!

「麗央さん今なんておっしゃいました…、?」

慌てて電源をオフにするとぽけっとにしまう。
もしかして…、結構不味いことをしちゃったのだろうか。
遠くの席から来栖様のこらえたような笑い声がリズムを刻んで聞こえてきていた。

東郷様はというと、ケーキの味がすごく気に入ったのか。
いつの間にか、隣で新しいケーキを装填して頬張っていた。

東郷様がひまわりの種を頬張っているハムスターに見えてしまうのは許してほしい…。
あまりにも…ぎゃっぷが、すごいっ

中々返事が返ってこないので麗央さんを見上げると目が合ってしまって


傍にいる麗央さんの気配に体を動かせないでいると、それに気づいたのかはたまた何かが限界を突破したのか…。
やけに力のこもった手が麗央さんを掴む。

そして近くに座っていた栗栖様の頭を鷲掴みにするとにょき。

器用に手の先でスマホを持ってプルプル震えながら一言。

「くっっっっそめんどいことになったぞ」

声の発信元は別室で電話していたのか星夜様だった。
ただでさえの過労のせいかとろんと垂れた目から社畜のサラリーマンを想像してしまった。
…ごめんなさい。

「ほっといてくれ…」

「うわっ、おもろっ」

当の掴まれている二人のテンションはあまりにも天と地の差すぎて心配になってしまうレベルだった。

「美鈴、今日はありがとうな。こんな時間まで残してごめんな」

「いえいえ大丈夫です!!」

いつもこんな状態になるまでやっているなんてあまりにも大変すぎませんか…?
生徒会の方々の体調に心配を抱きながらドアに手をかける。

「美鈴」

静かな麗央さんの声に振り返る。

「無理すんなよ…?部屋にスイーツ差し入れておく」

最後の方は声が小さくて少ししか聞こえなかったが、麗央さんの優しさに頬がほころぶ。

「麗央さん方こそ…っ、無理しないで下さね。私いつでも暇なんでおーる元気です!!麗央さんとまたスイーツ一緒に食べれるの楽しみにさせていただきます。」

少し照れてしまいながらも、そういって慌ててドアの向こうに姿を消そうとする。

「あぁ、俺も」

速攻バタンっ。
無理無理無理無理私の心臓じゃ耐えきれません。

早足で歩きながら私は顔を赤らめてパタパタと仰いだ。
威力えぐし。