無自覚な彼女はヴァンパイア様の溺愛に気づかない

「嫌だね」

伊織様は淡々とした口調で言う。

「あ…、でも美鈴の血が実験に使えるんなら考えてもいいけど?味見できちゃったり??」

血!?味見??

血は健康に悪いって言ったのに…。もしかして偏食なのかな。今度何か差し入れとか持ってこようかな…。

「伊織くぅーん?もう一回言ってくんない?」

「殺すぞ」

そんなことを思っている間にも隣で殺伐とした気配がしていた。




あっ、ちょっと待って!



「私、何か手伝えたりしませんか?」

自分が皆様の作業の邪魔をしているとか申し訳なさすぎる。

せめて、何か手伝えたり…しないかな?

「俺は美鈴はいてくれるだけでいい」

「僕も僕も!甘いもの食べよー?」

「だからお前は作業してこい」

「えぇー?食べてからにするよ」


ちょ、ちょっと。だから甘いもの食べるだけじゃ申し訳ないです!!

「じゃあ、美鈴はデータの羅列頼めないか?」

麗央さんと栗栖さまのやり取りをフル無視でこちらにやってくるとパソコンのところまで案内してもらってやり方を説明してもらえた。

「あぁ…、今月の分だけでいい。あとは栗栖にでもやらせとく」

「はい!わかりました」

パソコンの前に座るとわくわくしてきた。



私っ、タイピング得意なんだよね



「…ぉ、おぃ、おーい」

あわわわわわ

星夜様の声に慌てて手を止める。

「俺は今月の分だけでいいといったはずだが…」

あ…そうだ、今月分だけって言われてたのに。

「なんで三ヶ月もやってあるんだ」

パソコンに目を移すと確かに三ヶ月まで資料を含めプリントもばっちりに仕上げていた。

「す、すいませんんん」

近くにあった資料をどんどん見ていくうちに同じような羅列がたくさんあったのでついついこなしていたらこうなってしまった。

時計を見るとあの後から2時間立っていて放課後もすっかり終わって太陽も沈みかけていた。

「美鈴、こっち」

私の作業を待っていてくださったのか麗央さんは手招きしてきた。