「んんっ」


「警戒心がなってませんね、リアナちゃん?オオカミのまえで油断なんてしたら、ぺろりといただいちゃうよ」


「な、ナイルさっ」




 妖しく笑って、ナイルさんは熱い体温をわけあたえるようにふかいキスをする。

 甘くせまられて頭がぼーっとすると、ナイルさんに抱き上げられて、どこかへ運ばれた。

 そのあいだもキスはやまなくて、行き先を聞くよゆうがない。


 そっとベッドへ降ろされたときには、もう手おくれだった。




「いっぱい鳴いていいよ、リアナちゃん。ぐずぐずに溶かして、朝まで天国にいかせてあげる。…あ、でもある意味地獄かもね」


「へ…ま、待って…っ」


「いやです、待ちません。大丈夫、最後まではしないよ。まぁ、リアナが俺をほしがって泣いちゃうかもしれないけど」


「ナイルさん…っ!」


「そのときは応えてあげる。朝までいっぱい気持ちよくなろーね、リアナ?…愛してるよ」




 とろりと、はちみつのように甘く笑ったナイルさんの手によって。

 その夜、私は“天国”を見せられたのでした。


[終]