「はい、落としたカギ。それから…スマホ、出してくれる?」


「はい…」




 差し出されたカギを「ありがとうございます」と受け取って、ポケットから言われるままスマホを出した。

 お兄さんを見ると、「ちょっと失礼」と私のスマホでカメラを起動して、お兄さんのスマホの画面を写真に撮る。




「これ、俺の連絡先。ほしいものがあれば代わりに俺が買ってくるから、夜中に1人で出歩いたりしないで」


「えっ…と?」




 なんで私、お兄さんの連絡先教えられてるんだろう?

 通りすがりなのに、親切、どころじゃないような。

 そもそもお兄さん、なんで私の家知ってたの…?




「お兄さんは、その…何者なんですか?」




 おそるおそる尋ねると、お兄さんはにこりとほほえむ。