「うわぁ~!リアナちゃーん!」




 歌い出しがくる、というときにコールしていたお兄さんが柵を越えて、ステージによじ登ってこようとしてきた。

 え、私に駆け寄ってくるの?と思いながら、このお兄さんが推していたはずのミウみうを見る。

 すると、ミウみうはおどろいたように口を押さえながら、私を見ていて。


 視線が合うと、にや、と目を三日月形にした。

 …あぁ、そういうこと。




「「きゃぁー!」」




 客席から悲鳴が上がって、歌い出しが過ぎる。

 私はステージ上に来たお兄さんへと視線をもどして、どうしようかなぁと考えた。

 ミウみうが仕組んだことでも、ファンを拒絶するような姿勢はとれないし。


 ここはやっぱり受け入れ態勢をとって、客席にもどってもらうよう、うながすしかないかな。




「リアナちゃん、好きだー!」