夜になって、私は帰ったばかりの家から飛び出す。

 いまだにメッセージは未読のまま。

 でも、ナイルさんがぶじなら、1人で外に出てきた私を見て、駆けつけてくれるかもしれない。




「ナイルさん…お願い、来て…」




 不安を抱えながら、暗い道をひたすらに歩く。

 すぐに通知へ気づけるように、スマホは手でにぎったままにした。

 きょろきょろとあたりを見回していた私は、こっちへ近づいてきた人影にもすぐに気づいたのだけど…。




「きみ、どうしたの?きょろきょろして、迷子かな?おじさんがおうちまで送ってあげようか」


「い、いえ…大丈夫です…」




 ナイルさんじゃない…。

 私は落ちこむ気持ちをかくして、また歩き出そうとした。




「もしかして家出かな?だったらおじさんの家に来る?おじさん一人暮らしだから大丈夫だよ」


「大丈夫です、ちがいます。お気遣いありがとうございます」