呼吸をととのえながら壁ぎわに寄ると、とつぜんパァン!と音がした。




「えっ?なにいまの音…!」


「運動会のピストルみたいじゃなかった~…?」


「銃声?なんで…」




 レッスンルームがざわっとして、おたがいの顔を見回す。

 トレーナーさんは「静かに」と声を張った。

 その直後に、またパァン、パァン!と音がする。




「やだ、なにかしら…」


「確認してくるから、あなたたちはここにいて」


「あっ、先生…!」




 トレーナーさんが出ていって、レッスンルームには私たちHRSMT(ヒリスミツ)だけが残った。

 不安そうなみんなをなだめているツカサさんを横目に、私は荷物に駆け寄ってカバンのなかでスマホを操作する。

 ナイルさん、大丈夫かな…っ。