ぐい、と男性Bさんが腰をかがめて私の顔をのぞきこんでくる。

 街灯の下で見ると、金色の髪はさらさらしていて、タンザナイトのような青紫色の垂れ目はとても澄んで見えた。

 大人びた顔立ちから推察するに、年齢は20代。


 このお兄さん、うちの事務所のどの男性アイドルよりもかっこいい…。

 思わずドキッとしちゃった。




「は、はい…えっと、ありがとうございます、お兄さん」




 笑ってお礼を伝えると、お兄さんの顔は甘くほころぶ。

 地面に落ちたぼうしとだてメガネをひろって、砂を払ってから私にかぶせると、お兄さんは私を抱き上げた。




「きゃぁっ!?」


「ごめんね、きみの顔を近くでちゃんと見たことがなくて。こんなにかわいい子だとは思わなかった」