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藤堂(とうどう)リアナ視点―


 夢みたいな夜だった。

 だれにもふれられたことのない場所にふれられて、出したことのない声を出して、野性的な瞳をしたナイルさんに、たくさん愛をささやかれて。

 宣言どおり、“最後”まではしなかったから、私も安心したというか。


 ああいう夜なら、何度過ごしてもいいかな…なんて、はずかしいことを考えてしまう。

 ダメダメ、もうすぐライブの練習だって始まるんだし。

 …でも、ライブに向けた準備が始まるまえに、もう一回ナイルさんと会っても…。




「ワン、ツー、スリー、フォー!」




 くるりと回って、下からすくい上げるように右手を持ち上げる。

 最後のポーズでたっぷり5秒静止すると、トレーナーさんはパチパチと拍手した。




「いいわ、5分休憩にしましょう」


「「はい!」」