「ダメっ…!」




 離れた体。

 しん、としたリビングにはバイブレーションの音もよくひびいて。




「…ぁ、の、通知、来てるみたいですよ…」


「…うん」




 ナイルさんはにこりとほほえんで、私にキスをしてからポケットのスマホを取り出した。

 ドラムをたたいているような胸を押さえて、ふぅ、と息を吐きながら、ちらりとナイルさんの手元を見る。

 また“組長”からなのかな、と思っていたのに…。




「なっ…!?」


「…あ、見えちゃった?」




 画面に映っていたのは、布面積のすくない下着をつけて、セクシーポーズを取った美人な女のひとの自撮り写真だった。

 ナイルさんはそれに顔色ひとつ変えず、眉を下げて私に笑いかける。