「ごめんなさい、ちょっと…」
「うん」
立ち上がってインターホンのモニターに近づくと、そこにはオウキくんが映っていた。
「えっ、オウキくん…!?な、なんで…っ。な、ナイルさん、しばらく静かにしててもらえますかっ?」
「…いいよ」
すっと目を細めたナイルさんを気にするよゆうもなく、応答ボタンを押す。
「はい、どうしたのっ?」
《車に忘れ物してたから届けにきた》
「えっ、ありがとう」
なんだ、よかった…。
そんな用事なら、玄関先で済みそう。
私はエントランスのロックを解除してから、ソファーのほうにもどった。
「ナイルさん、ごめんなさい、マネージャーが来ちゃって…念のため、かくれててもらえますか?」
「わかった」
ナイルさんはにこりとほほえんで、私が言うまま、近くの脱衣所にかくれてくれる。
私はオウキくんを出迎えるために玄関へと向かって、足元で違和感を放っているナイルさんのくつをあわててくつ箱のなかにかくした。