「な、な、なっ…!?」


「…あれ?」




 ナイルさんはなぜか、きょとんとした顔。




「い、いきなりっ、なにを!?」


「えーと、もしかして俺のかんちがい?ごめんね、家に来てって言うから、おそわれる覚悟できてるのかと思っちゃった」


「お、おそっ!?ち、ち、ち、ちがいますっ!こんな時間に外、出かけられないしっ、家で会ったほうが安全だからっ」




 顔の熱を感じながら、必死にごかいをとく。

 ナイルさんはぽりぽりとほおをかいて、眉を下げた。




「…ごめん」




 そんなふうにあやまられたって…!

 私、初めてだったのに…っ。


 ばくばくとさわぐ心臓をなだめる方法なんて知らなくて、口を押さえながら視線を落とす。




「もうさわらないから、安心して」