「こんばんは。お招きありがとう」
「こ…こんばんは」
玄関の扉を開けてナイルさんを出迎えると、目を細めて、なんだか色っぽいほほえみを向けられた。
お顔がお顔だから、どうしてもドキッとしてしまって、どぎまぎしながらナイルさんをなかに入れる。
扉を閉めて、カギとチェーンをしっかりかけてからふり返れば、ナイルさんはまだそこにいて。
あごにふれた指が私の顔を上に向かせて、せまってくるものを唇で受け止めさせた。
「…え?」
「やわらかい。…ね、もっと食べていい?」
タンザナイトのような、青紫色の瞳が妖しく私を見つめる。
…。
一拍遅れて、ぶわっと体温が上がった。
私はあわててナイルさんの胸を押し返して、両手で口をガードする。