オウキくん立ち合いだったら、と考えていると、ぼそりとナイルさんの声が落ちてきた。




「ストーカー10回、盗撮30回…」


「え?」


「1ヶ月で俺が阻止した数だよ」




 にこりと笑いかけられる。

 …えぇと?




「こっちが勝手にやってることだし、恩に着せようってわけじゃないけど…俺がいなかったら、リアナちゃんどうなってたんだろう」




 わぁ…。

 もしかして私いま、きょうはくされてる?

 ナイルさん、ぜんぜん王子さまじゃないなぁ…。




「えぇと…夜、家に帰ったあとなら空いてますよ」


「そう?それじゃあ都合のいいときに連絡して」




 にっこりした王子さまのような笑顔が、もうやさしい親切なひとの顔には見えなかった。

 ナイルさんは「じゃあまた夜にね」と手をふって下に降りていく。


 …大変なことになっちゃったかも。