「さっきのは、相手もヤクザだったから特別対応というか。どうせタフだしなにしても大丈夫っていうか」


「は、はあ」


「カタギにはあんまり手出さないし、もちろんリアナちゃんに荒っぽいことしたりはしないから、安心して?」




 眉を八の字にした、はかなげな視線を向けられて、顔と行動が結びつかなすぎる、と苦笑いした。




「わかりました」




 私はナイルさんを見上げて、体のうしろで手をつなぎながら笑う。

 すると、ナイルさんはほっとしたようにほおをゆるめて、「ねぇ」と顔をまえに出した。




「このあと、時間ないかな?よかったら2人ではなさない?」


「えっ…うーんと、ごめんなさい、なかなか空き時間がなくて。それに私、アイドルだし、男のひとと2人で会うのはちょっと…」




 なんて、いまも2人で会っちゃってるんだけど。