「はぁ、ったく…」


「…あのー、ナイルさん…?」




 どうやら終わったようなので声をかけてみると、ナイルさんはバッと顔を上げて、目を丸くする。




「リアナちゃん…見てたの?」


「えっとぉ…はい」


「ごめんね、こわがらせちゃった?」




 眉を下げてほほえむ顔は、やっぱり王子さまのよう。

 さっきまでのナイルさんと同一人物とは、とても思えない。




「まぁ…ナイルさんがヤクザさんなのは、本当なんだなー、とは…」




 思ったかな。

 正直に答えると、ナイルさんは…なんと、窓枠を足場にして、上に登ってきた。

 一歩下がれば、私がさっきまでのぞいていた窓に足を置いてしゃがみこみ、私を見下ろす。


 ここ、3階なんだけどなぁ…。