「こんなものひろってなにする気?そんなに夢中になる理由がわからないんだよね、オヤジもきみも。たかがアイドルでしょ?何千といる」


「か、返せよっ!それにリアナちゃんを“たかが”なんて言うな!彼女は千年に一度の美少女だぞ!」




 どうも、こんにちは。藤堂(とうどう)リアナです。

 高校2年生、人気アイドルやってます。




「あのぉ…すみません。このあたりにカギなんて落ちてませんでした?」




 街灯だけがたよりの夜道。

 おとりこみ中な2人の男性に、そしらぬ顔で声をかけると、バッとふり向かれました。




「リアナちゃん!」


「えっ」




 秒でバレた!?

 なぜっ、ちゃんとぼうしをかぶって、色付きレンズのメガネをかけて、ふだんは下ろしてる髪もアップにしてるのに!


 片手で口を押さえると、私のファンらしい男性Aさんはこっちに向かってくる。