丹波(たんば)ナイル視点―


 いつもと変わらないたいくつな仕事。

 そう思っていた。




「ったく、急に1人歩きしたりして…ど深夜に、芸能人の自覚あんのか?」




 マンションから出てきた護衛対象を見て、車から降りる。

 歩いてあとをつければ、彼女はコンビニへと入っていった。




『おう、ナイル。おまえ、今日からリアナちゃんのボディーガードしてこい』


『はぁ?なんで俺がオヤジの女を』


『バカ、リアナちゃんはアイドルだ。男なんているか。凶暴だけど、おまえがいちばんカタギ顔してるだろ。組長命令だ、さっさと行ってこい』




 組長(オヤジ)の命令じゃなきゃ蹴ってた仕事だ。

 車を乗り回して、スケジュールも不明な女をつけ回し、怪しいやつを追っ払う。

 相手はカタギだから手加減しなきゃならないし、本当にうんざりする。