バレンタインと恋の魔法

「ラブとかはどうですか!」


「ラブ?」


「今私のハートを奪ったんで、恋泥棒ってことでラブ!」



先輩はぽかーんと私を見つめてから、ふっと吹き出して笑い出した。


それに次は私がぽかーんとする。



「ははっ、いいじゃんラブ。こいつらしいよ」



先輩が優しい横顔でラブのあごを撫でる様子をじーっと眺める。


今日は先輩の笑顔を二回も見てしまった…。雪でも降るんじゃないだろうか。



そんなことを考えながら、でももう一度見たいなと思った。





「ねえ、あの子だよ…」



翠と食堂に向かっている途中で何やら周りから視線を感じた。


最初は気のせいだと思っていたけど、それは食券の列に並んでる間も続いた。



「ねえ翠。私飲み物買ってくるから、ここで待っててくれる?」


「うん、わかった」



さりげなく翠と離れて自販機に向かうけど、やっぱり私がずっと見られていることに気づく。