「なんだろう? 何か分かる? 玲音くん」

「……知らねぇ」

「そ、そっか」



玲音くんと2人。

2人で直接話したことはあまりないから、少し気まずい。

と思っていたら、玲音くんが歩き出した。

ついて行くと、幹部室に入った。

そして、ソファに座る。



「ねぇ玲音くん。好きなものとかないの?」



なんとなくそう聞いてみた。



「あ? なんだよ急に」

「い、いや……。よく考えれば、玲音くんの好きなものとか、全然知らないなぁって」

「……好きなもの」

「あ、ごめん。好きな食べ物とか、趣味とか。なんとなく聞いてみただけで」



そう言うと、少し考え込む玲音くん。



「……何もねぇ」

「え? そうなの?」

「好きなものなんかねぇ」

「そ、そっか」

「……」