「ほら、帰ろう」
「うん」
士綺くんが向けてくれた手を握って、立とうとした瞬間。
「っ、いたっ……!」
「っ、どうした……!?」
捻った足では立てなくて、ドサリと湿った土に座り込んだ。
士綺くんは私の膝を見て目を見開いた。
擦りむいてるの、気づいたんだ。
その瞬間、私はふわりっと浮遊感を感じた。
「怪我してんなら早く言え」
「えっ? ちょ、下ろして……! 重いでしょ?」
恥ずかしくて、顔が熱を帯びる。
「何言ってんだ。なんならもっと太れ」
「太れって……」
「なんでこんな痩せてんだよ。飯ちゃんと食ってんのか?」
「まあ……たまに抜く時はあるけど……」
食べるのさえも面倒で、お腹が空かない時は食べない。
「はぁ? んな事したら死ぬぞ。ちゃんと食えよ」
「士綺くんは、ぽっちゃり体型がタイプ?」



