「なんで……っ」



私は、最低だ。

士綺くんがくれたチャンスを、無駄にした。

せっかくできた仲間を、友達を、手放してしまった。



「───寂しい、よ……っ」



ずっと、ずっと……寂しい。

誰も、見向きもしてくれなくて。

必死に、我慢してきて。



「───士綺、くん……っ」



士綺くんが引っ越してから、地獄のような日々だった。

まるで士綺くんがいなくなるのを待っていたかのように、いじめが開始した。

主犯だったのが───久瀬日向くん。

久瀬くんは、本当に“悪魔”だった。

人が苦しんでいるところを見て笑って。

人を苦しめるなら、手を汚すことを躊躇しない。

女子たちは士綺くんと仲良くしていた私が気に入らなかったんだと思う。

心の傷を抉ってきた。

───『やめて』

しつしか、その言葉が言えなくなった。

先生も助けてくれない中、独りで戦った中学。

孤独な高校生活。

もう、疲れたの。

独りでいることが、慣れてしまった。

だからこそ、士綺くんの、憐夜くんの、玲音くんの、涼くんの温かさに、甘えてしまった。