「てかなんで親いないのに学校通えてんだよ」

「なんか特待生で入ったらしいよ? 噂だとあのオッサン理事長に飼われてるとか〜」

「マジ? でも成績は良いよな」

「成績だけでしょ。あの前髪見てよ? 目にかかってていかにも陰キャって感じ〜」



前髪……。

全然切ってなかったし、確かに陰キャに見えるかも。

でも、聞こえる声で陰口ってダメじゃないの?

私、何もしてないのに。


───キィ……ッ。


音を立てて開いた屋上の扉。

本当に、誰もいない……?

そう思った時。



「ん? 誰〜?」

「っ……!?」



後ろを振り返ると、そこには真っ赤な髪の毛の男の人が立っていた。

だ、誰……っ!?



「キミ誰〜? まさか“あんだけ”言ってついてくる女子がいたとはね〜」



語尾に♪が付きそうな口調の彼。

え……なんで……?