「見てよ。首席の百瀬さんだよ……」

「成績いいの鼻にかけて、感じ悪いわよね」

「肩で風を切るって、あの人のためにあるような言葉よね」



でも、教室に出ても、状況は変わらない。

……なんで、確信もないことを真実みたいに語るの?

あなたたちは、嘘を語ってるのに。

……なんて、今始まったことじゃない。

こういうのは、慣れっ子だから。



「それに、あの子捨てられたらしいわよ?」



……!!

……おかあ、さん……。



「えー? この街にー?」

「そうらしい。ホント、“可哀想な子”」



可哀想な、子?

違う。お母さんは……。



「父親どっか行って、母親は出て行ったらしいよー!」

「え、可哀想」



……その通り、としか、言いようがない。

お母さんはお父さんが不倫して、出て行ってしまった。

私に優しくしてくれたお母さんを裏切ったお父さんを許せない。