「う〜ん……。士綺、くん……」

「椿月?」



開いた瞳は虚ろで、まだ夢の中にいると思ってんだろう。



「行かない、で……」

「……は?」



瞳から、一粒の涙が流れた。

なんで、泣いてんだ……。



「もう、独りは嫌……」



震える声。

閉じた目から流れる涙。

……こんな状態じゃ、帰れねぇだろ……。



「ったく……」



マジ……。



「襲わないだけ、感謝しろよ」



そう呟き、手を握った。