昔から、椿月はそうだった。

我慢をしてまで、俺を気にかける。

そんなに俺は、頼りねぇか。

こんなんじゃ……“昔と同じ”じゃねぇか。


震える椿月を抱き上げ、椿月の家に向かった。

椿月の家で聞いた話は……“思ってたのと違かった”。

なんで俺は“あの時”……手を振り払ったんだ。

こんなに傷ついてる椿月を……なんでだよ。

過去の自分を怨んだ。

そんな事をしたって……過去に戻れないのは分かってる。

でも、悔やんでも悔やみ切れねぇ。



「すぅ……すぅ……」



規則正しい息をしながら眠った椿月。



「……相変わらず、無防備だな」



男が隣にいるって分かってんのか?

んな事より、あの男はどうなったんだ。


───ピリリリリ、ピリリリリ……。


……あ?

突然鳴り始めたスマホ。

電話の相手は憐夜だった。



「……なんだ」