「どこの部屋だ?」

「えーっと、あっ、ここ」

「寝室?」



寝室には見えないだろうね。

士綺くんは結構良い家柄だから……。



「ごめん、堅苦しくて」

「……全然大丈夫だ」



士綺くんは私の部屋を見て、苦しそうな顔をした。

この部屋に人を入れたのは初めてで……居場所が、できたように感じてしまった。

そう思うと、ポロリと涙が溢れた。



「……どうした?」



士綺くんがそう聞いてくれて、口からするりと本音が出てしまった。



「私の居場所、どこにあるんだろ……」



気づけば、そう呟いていた。

居場所なんて最初から、なかったのかな……。



「……」

「ご、ごめっ……! 何もない、何も、ないから……っ」



そう言ったのに、士綺くんは眉を寄せて……。



「……辛かったな」

「っ……!」



頭をポン、と撫でられて。

堪えていたもの全てが、溢れてしまった。



「うわぁ……うわぁぁん……!」

「泣きたい時は泣け。こんな小せぇ身体で無理し過ぎなんだよ」

「小さいは、余計だぁぁっ……! ッヒク……」

「……悪い」



士綺くん、案外不器用?

そんなことより……なんでそんなに優しいの?

私のこと、嫌いじゃなかったの?

士綺くんのこと、もう分からないよ───。