「ありがとう、士綺くん……」



アパートの前に着いて、士綺くんにお礼を言う。



「……別に何もしてねぇって。ほら、もう降ろすぞ」

「うん。ありが、と……っ!」

「っ、おい!!」



え……なん、で……。

士綺くんの腕から降りた瞬間、足の力が抜けた。

そして、崩れ落ちてしまった。



「……ッチ」

「ご、ごめ……っ!」



ご、ごめんなさい……!!



「なんで我慢すんだよ。……こういう時ぐらい甘えろよ」

「……っ、え」



甘、えろ……?



「ったく……。ほら、早く行くぞ」

「えっ……!」



また、お姫様抱っこ……!?

さ、さすがに……!!



「さっきも抱えてたから問題ねぇよ。どこの部屋だ?」

「……2階の、1番左のとこ、ろ」

「……別に階段くれぇどうってことねぇよ」