傷だらけの少女は、初恋相手の幼馴染にドロ甘に溺愛される。

イライラするって……そういう、意味?



「……大丈夫、だよ……」

「大丈夫じゃねぇだろ。こんな震えやがって。そこら辺で轢かれたらどうすんだ」

「っ、でも……!」

「いいから黙っとけ。家は前のとこだろ。てかカバン忘れてたぞ。鍵もこん中だろ」



なんでそんなに……優しくするの。

……勘違い、しちゃうじゃん……。



「……ありがとう」

「……別になんもしてねぇよ」



ホント、士綺くんって昔から鈍感なんだから……。



「……士綺くんのバカ……」

「ん? なんか言ったか?」

「言ってないよ」



辛い。痛い。思い出すたび体が震える。

でも、確かに分かったことがある。

辛さと引き換え以上になる感情。

この胸の高鳴りは……恐怖なんかじゃない。


───士綺くんのことが、大好き。


優しくて、鈍感で、すぐ心配するところ。

全部全部……大好き。