傷だらけの少女は、初恋相手の幼馴染にドロ甘に溺愛される。

「おい、大丈夫か?」



何年も見てない、心配してる瞳。

向けられて嬉しいはずなのに、“嫌い”という事実で胸が締め付けられる。



「放って、おいて」

「は?」

「嫌いな人に……優しく、しないでっ……!」

「っ、は?」



期待、させないで……っ。

また……傷つきたく、ない。



「士綺くんは私のこと、嫌い、なんでしょ? いいよ……無理やり、話しかけなくて……」

「っ……」



図星を突かれたような顔をした士綺くん。

やっぱり……そう、なんだ。



「だい、じょうぶ、だから……っ。鬼龍の皆さんにも、謝って、おいて……」



必死に震える足で立って、歩き始める。

大丈夫……もう、“あの人”はいない……。



「なんでそうなるんだ」

「……え? っ、きゃっ……!」



私はいつの間にか士綺くんの腕の中にいた。

なんで……どうして……!



「いつもそうだよな。すぐ我慢しやがって。
……そんなんだからイライラすんだ」

「……え?」