「椿月……! 大丈夫か……!?」

「な、なんで……」



私……手を、振り払ったのに……。

───どうしてそんなに、焦った顔をするの?



「大丈夫か? 立てるか?」



士綺、くん……。

優しい。

そうだ。士綺くんは、ずっと……優しかった。




『士綺くん! あそぼ!』

『……無理』

『なんでー!?』

『お前……熱あんだろ』



士綺くんはずっと……優しくて……。

私の些細な変化にも気づいてくれて……。



『熱出てんのに、無理すんな』

『無理なんかしてないよ! 士綺くんは一緒に……遊びたく、ない?』

『……熱が治ったらな』

『……! うん!』



私が飽きるまで遊んでくれた小学生の頃。

優しくて……一緒にいると心地良くて。

でも……。



『士綺くーん! 一緒に帰ろーっ』

『……無理』

『なんでー?』