士綺クンは目を逸らして追いかけようとしてるのに、それをバカみたいに阻止したのが久瀬日向。

まるでつーちゃんのことを嘲笑うように、ニヤリと笑った。

その反応に、士綺クンの血管が浮いた。

ヤッバ……士綺クンが怒ったんじゃない?

士綺クンが怒ったとなれば、もう死ぬようなものだって、鬼龍のメンバーなら分かはずなのに。



「てめぇ、何しやがった」



案の定、騒いでいた下っ端たちも低い声を聞いて顔を真っ青にさせた。



「お、俺は、ただ昔の知り合いで……」



その言葉に、士綺クンの目が完全にイッた。

何かを思い出すように……ギリッと胸ぐらを掴む手に力が加わったのが分かった。



「士綺クン、コイツは任せてつーちゃん追った方がいーよ?」



あのままだと……車に轢かれそうだったもんね。



「……ッチ。いいか、コイツは奥の部屋に放り込め。玲音、片っ端から調べろ」

「……ああ」