傷だらけの少女は、初恋相手の幼馴染にドロ甘に溺愛される。

「い、や」



声が、震えて出る。

身体中のサイレンが鳴る。



「俺のこと覚えてる? 久瀬日向(くぜ ひなた)だよ」

「どーした? えっとー、久瀬くん? つーちゃんもどーしたの?」



憐夜くんの声さえも、聞こえない。

恐くて。ううん。もう、恐いなんて気持ちすらもない。

ただ、感情がぐちゃぐちゃになって。



「覚えてくれてた? 楽しそうにして。てっきりもう忘れちゃったかと思ってた」



頭の中に、サイレンが響く。

こう頭の中で言葉になった。


───逃げろ。


「……や」

「つーちゃん?」



溜め込んだもの全てが、爆発した。



「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

「「「っ!?」」」



憐夜くんの驚く顔。

玲音くんの少し見開いた目。

涼くんのただこっちを見ている顔。