傷だらけの少女は、初恋相手の幼馴染にドロ甘に溺愛される。

結局、女って醜い。

でも……。


『士綺くん! ほら、行こっ』


───椿月だけは、違う。



「あーあ。行っちゃった」



いつの間にか女たちは去っていった。



「お前サイテーだな」

「士綺クンがそれ言う? ま、一番優しい玲音クンの断り方、一番酷かったけどね」

「……まさか告白とは思わなかった」



玲音は天然なんだかアホなんだか。



「てかつーちゃん、呼び出しされてそー」

「あ゛?」



椿月が呼び出し?



「だって今日最後でしょ? どんだけ士綺クンが牽制してよーと、ものにしたい男は山ほどいるでしょ〜」

「クソが……。やっぱり同じクラスに変更しておくべきだった……ッ」



後々変更しようと思ったが、理事長に断られた。



「殴ってでも変更するべきだった……」

「そんなこと言ってー。同じクラスになったら離れないでしょー。僕、これ以上お世話したくないし〜」

「クソが……」



でも……あともう少しだ。

もう少しで……椿月と結婚できる。

もうそろそろ、ドレスや式場も見るべきか。

やっと……椿月と結婚できる。