傷だらけの少女は、初恋相手の幼馴染にドロ甘に溺愛される。

「分かってるわ。でも大丈夫。前みたいに連絡先も居場所も分からなわけじゃないわ。私、実家に帰るわ。だからね……」


───幸せになって。



「おかあ、さん……っ」



私、ちゃんと愛されていたんだ……。

ちゃんと、思われていたんだ……っ。



「椿月のお母さん」

「あ……」



士綺くんのよく通る声が響いた。

お母さんは、ふわりと微笑んで、頭を下げた。



「ごめんなさい。酷いことを言って。士綺君だって、望んでやったことじゃないわよね。本当にごめんなさい。椿月のこと、幸せにしてあげて」

「……本当に、いいんですか」



士綺くんは信じられないという気持ちを持っているみたい。



「ええ。……私はまだ、椿月の近くにいるべきじゃない。だから、よろしくね」



そう言われ、士綺くんは真剣な表情を浮かべた。



「……はい。命に変えても守ります」

「ふふっ、椿月は愛されてるわね」

「し、士綺くん……」



この日やっと───全ての絡みが取れた気がした。