傷だらけの少女は、初恋相手の幼馴染にドロ甘に溺愛される。

私は……その程度なの?

必要と、されないの?



「そんなわけない……っ。お母さん、辛くて、椿月の気持ち、考えてあげられなかった……っ。ごめんなさい……っ」

「お母さん……」



お母さんだって、辛かったんだ。

不倫っていう、嘘に騙されて。

お母さんも、捨てられたって思ってたんだ。



「……本当に、一緒に来ないの?」

「……うん」



お母さんの切なる願いを、私は切った。

だって、今更お母さんと会っても、士綺くんのことは越えられないから。

誰よりも大切なのは……士綺くんだから。



「……分かったわ」

「……え?」



嘘……なんて、言った……?



「確かに、士綺君が悪いわけじゃないものね。ごめんなさい。私、椿月の大切な人を奪ってしまうところだったわ……っ」

「そん、な……っ。お母さんは、どうするの」



離れたく、ない……。

士綺くんも大事だけど……お母さんはこの世にたった1人しかいない、大切な人だから……。