「な、何?」



いつもの雰囲気と違う私に気づいたのか、お母さんは怖気付いた。



「私、伝えなきゃいけないことがあるの」

「え……何?」



すうっと、息を吸う。



「私、士綺くんと、付き合ってるの……!!」

「……え?」

「椿月……」



士綺くんは申し訳なさそうに眉を下げた。

お母さんは、みるみる顔を真っ赤にさせて。



「やっぱり!! 椿月、別れなさい! 彼が何をしたか分かっているでしょう!? お父さんがいなくなったのもこいつのせいよ!」

「っ……」



こいつ、だなんて。

確かに、士綺くんがしたことは許されることじゃない。

でも、私は。



「それでも私は、士綺くんが好きなの。だから引っ越せない。ごめんなさい」



そう言い、足に負荷がかからないように頭を下げた。

お母さんは、顔を真っ赤にして。