泣きながら訴えると、士綺くんは憐夜くんを睨んだ。



「おい憐夜、んな話聞いてねぇぞ」

「士綺クンがお父さんに手出すからでしょ? 余計な事したね〜」

「チッ、クソが」



どうしたら、いいの……?

お母さんはきっと、もうこの街で暮らすのは嫌だと思う。

きっと私と士綺くんが付き合うのも嫌だと思う。



「椿月の母親に会いに行くぞ」

「え……?」



士綺くんが急にお姫様抱っこをしてきた。



「ちょ、士綺くん……?」



士綺くんはいつになく真剣な表情だった。

それと、憐夜くんたちも。



「士綺くんのそばにいて……いいの?」



心から願った。そばにいたいと。

士綺くんのお父様は反対した、って言ってた。

もしかしたら、一緒にいれないかもしれない。

でも、別れる寸前まで、諦めたくない……。

その願いは、今届いた。



「当たり前だろ。手紙は届かなかったらしいが、俺の言う事は1つだ。“愛してる”」

「っ、ありがとう……っ」