士綺くんの言葉に、忘れていたことを思い出した。

……私、明日引っ越すんだった……っ。

せっかく、全部終わったのに……離れ離れになっちゃうの……?



「どうした? 椿月」

「うっ……グスッ……っ」

「椿月!?」



ボロボロと涙が溢れた。

引っ越しなんて、嫌に決まってる。

でも、お母さんを悲しませることになっちゃう。

どうしたら、いいの……っ。



「椿月? どうした? どこか痛いのか?」

「う、ううん……っ。私、士綺くんから離れたくないよぉっ……っ!」

「は?」



士綺くんは何を言ってるのか分からない、と言わんばかりに眉を寄せた。

でも、憐夜くんたちは気まずそうに下を向いた。



「だって私……明日、引っ越すから……っ」

「……は? 憐夜、どういうことだ」

「……つーちゃんのお母さんの実家が隣町にあるからって、引っ越すことになったんだよ。つーちゃんは反対しなかったんだけど……」

「ううっ……嫌に、決まってるよ……!」