私は、完全に喋らなくなった。

話す時は、余程のことがある時だけ。

『YES』か『NO』で答えられることは、頷くか首を横に振るだけ。

分かってる。このまま、生きられないって。

でも……。



「つーちゃん」

「椿月」

「百瀬先輩」

「百瀬」

「……」



部屋に、憐夜くんたちが入ってきた。

今日はもう、引っ越しの日。



「ねぇつーちゃん……。そんな死んだような目しないでよ」

「……」



分かってるよ。このままじゃ、社会に出れない、普通にいられないって。

でも───。



「……ぎる」

「え?」

「───この世が、辛すぎる」



この世が、辛い。

どうして、私は幸せになっちゃいけないんだろう。

どうして……幸せになれないんだろう。