目の前に、立っていたのは───。
「椿月」
何年も見てない、お母さんだった。
「どう、して……」
声が、震えた。
手紙のことを一瞬忘れるくらい、驚いた。
「椿月、ただいま」
ただ、いま?
「驚く、わよね……。ずっと、会いたかった」
「会いたかっ、た……?」
っ、まさか。
「士綺、くん……?」
士綺くんが、お母さんを、呼んで、くれたの?
すると、お母さんは微笑んだ。
「ええ。士綺君が、会わせてくれたの」
「っ、士綺、くん……っ」
士綺くん、会いたいよ……っ。
ありがとうは、本人に伝えたいのに……っ。
「椿月、置いて行ってしまって、ごめんね」
「っ、会いたかった……!!」
身体の痛みなんて忘れて、お母さんに抱きついた。
すると、お母さんは抱きしめ返してくれた。