傷だらけの少女は、初恋相手の幼馴染にドロ甘に溺愛される。

【椿月と一緒にいれば、父親は話を聞いてくれないかもしれない。受け入れてくれないかもしれない。だから、椿月を突き放すしかなかったんだ。
本当に、ごめん】



『ごめん』の一言で、全部が伝わってくる。

士綺くん、何も変わってない。

私のために、溜め込むところ。

こんなの、耐えきれないよ……っ。



【でも、この街に帰ってくる時があった。それが、今回の事件だ。
半分、椿月に会うために帰ってきたんだ】

「……う、そ」



ねぇ、士綺くん。

じゃあどうして……今、いないの?

こんなの……ズルいよ……っ。



【許してもらおう、なんて思ってない。俺自身が許せない。周りの評価に騙されて椿月を独りにしてしまった上、傷つけて、いじめから護ってやれなかった】

「っ、そんな……っ」



傷つけたって、言うなら……最期まで、護ってよ……っ。

苦しいよ……。助けて、士綺くん……っ。



「……あ、れ?」



手紙を置こうとした時、1枚、はらりと紙が落ちた。

まだ……手紙が、残ってたんだ。

ゆっくりと、折りたたんである紙を開く。

そして見た瞬間、涙がまた、止まらなくなった。